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制度・法律

一人親方と法人の違いとは?税金や社会保険について徹底比較!

一人親方と法人の違いとは?
一人親方のなかには、法人化を検討している方もいるかもしれません。この場合「そもそもどんな違いがあるのか」「法人になると税金や社会保険はどう変わるのか」といった疑問をもつことも多いでしょう。
 
また、法人化にはメリットだけでなくデメリットもあるため、あらかじめどちらについても把握しておく必要があります。さらに、法人化するタイミングの見極めは大変重要です。
 
そこで今回は、一人親方と法人の違いを解説し、一人親方が法人化するメリット・デメリットやタイミングについて紹介します。法人化をスムーズに進めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
 
一人親方と法人の事前知識
一人親方が法人化する場合、一人親方と法人についてそれぞれ知っておくことが重要です。ここでは、一人親方と法人の事前知識を紹介します。
 
一人親方とは
一人親方は、従業員を雇用せずに自分自身と家族など身内だけで事業を行う事業主のことです。主に建設業や林業といった分野において、職人として一人前になったのち、親方のもとから独立した個人事業主を指します。
 
独立はしても職人はまだ雇い入れていないのが特徴で、自身が職人として雇われたり、必要なときだけ職人を雇ってまとまった工事を請け負ったりする場合も多いです。
 
近年、一人親方の数は増加傾向にあり、令和元年度の国土交通省の調査によると、直近5年間で「一人親方として独立した人数が増加した」と答えた建設企業の割合は、26.1%となっています。
 
法人とは
法人とは、自然人と同様の権利や義務を法律で認められた組織のことです。法人は大きく分けると、株式会社や合同会社などの「私法人(営利団体)」と、一般社団法人やNPO法人などの「私法人(非営利団体)」に加え「公法人(公共団体)」の3カテゴリーに分類できます。
 
法人化する際は、法務局で法人設立登記をして法人格を取得し、その後は法律上の人格にもとづいて事業を営むのが原則です。
 
間違いやすい言葉に「企業」がありますが、企業は経済活動を行っている組織や団体、個人などを指す言葉です。法人・個人事業主にかかわらない点がポイントで、法人は企業というくくりのなかで法人格を認められている組織ということができます。
 
一人親方と法人の違い
一人親方は基本的に個人事業主ですが、個人としての事業を廃止し、法人を設立することも可能です。ただし法人化すれば、個人事業主のときの事業を継続できるだけでなく、資産なども引き継ぐことになるため、しっかり準備をしておく必要があります。
 
まずは、一人親方と法人の違いについて理解しておくとよいでしょう。ここでは、それぞれの違いを、費用や税金、社会保険、経費といった面から解説していきます。
 
費用の違い
一人親方として開業する場合、個人事業の開業届を税務署へ提出するだけで手続きが完了します。その際、申請費用などはかかりません。資本金もとくに必要ないでしょう。
 
一方、法人として会社を設立する場合は、商業登記が必要です。そのため、定款作成にかかる費用や登録免許税などを支払わなくてはいけません。株式会社では約24万円、合同会社では約10万円がかかります。
 
また、法人化の際は、定款認証と登記のために公証人役場や法務局を訪れるなどの手間も大きく、登記申請を完了するまでにおよそ1週間かかることを念頭に置いておくとよいでしょう。
 
税金の違い
一人親方は基本的に個人事業主のため、個人の所得に所得税がかかりますが、法人が納める法人税は、法人としての所得に課税されます。
 
所得税では、課税される所得金額の区分ごとに税率や控除額が増える、累進課税制度が採用されているのが特徴です。
 
所得金額 税率 控除額
1,000円~1,949,000円 5% 0円
1,950,000円~3,299,000円 10% 97,500円
3,300,000円~6,949,000円 20% 427,500円
6,950,000円~8,999,000円 23% 636,000円
 
上記のように、所得が増加するほど税率も高くなります。
 
一方、法人で、事業で稼いだ所得に対してかけられるのが法人税です。区分は2つのみで、年800万円以下の部分では税率が15%、年800万円超の部分では税率が23.2%になります。
 
たとえば、所得金額が700万円だった場合、所得税では23%の税率がかかるのに対し、法人税では15%しかかかりません。高い所得になると、法人化したほうが納税額は少なくなるといえるでしょう。
 
事業規模を大きくする予定なら法人化の検討をおすすめしますが、法人化した際は、法人住民税や税理士への報酬など、別途支払いが発生する点に注意が必要です。
 
社会保険の違い
請負としての働き方をしている一人親方は、個人として国民健康保険あるいは国民健康保険組合(建設国保など)と国民年金に加入が必要です。一方、法人の場合、雇用保険や厚生年金保険、健康保険、介護保険、労災すべてに加入が義務付けられています。
 
規模や従業員数などにかかわらず、すべての社会保険制度に加入が必要となるため、一人親方から法人化することで、社会保険料の会社負担というコストが増える点も検討材料に含めなければいけません。
 
経費の違い
経費とは、収入を得るために支出した費用のことを指します。個人事業主である一人親方も法人も、収入を得るために要した支出は、経費として収入分から控除できます。
 
ただし、法人より個人事業主のほうが仕事とプライベートの区分があいまいになりがちで、発生する経費についても事業にかかるものかどうか、判断しにくい場合があります。
 
たとえば、自宅の一部を事業所として使っているケースでは、家賃は事業用とプライベート用で分けなければいけません。そのため、事業の供用割合に応じた按分計算が必要です。
 
法人でも同様のケースはありますが、按分計算は個人事業ならではの計算方法といえるでしょう。
 
一人親方が法人化するメリット
一人親方が法人化する場合、どのようなメリットがあるでしょうか。ここでは、主な5つのメリットを紹介します。
 
信用が増す
メリットとして挙げられるのが、法人化することで対外的な信用が増す点です。会社として公的に登記されることで存在を公にでき、客観的に事業を確認してもらいやすくなります。
 
登記には会社の住所や商号、目的などが記載されるため、個人事業主よりも信頼性が高まるでしょう。
 
また、対外的な信用が増せば、大規模な仕事の受注や多額の事業資の借り入れが可能です。たとえば「〇〇株式会社」という表記だけで印象は大きく変わり、個人事業主では取引が難しかった企業とも話を進められる可能性が出てきます。
 
企業によっては取引相手を法人に限定している場合もあるので、仕事を獲得するうえでも法人化は大変有効です。
 
経費にできるものが多くある
法人化すると、一人親方に比べ、経費にできるものが多くなります。役員報酬の一部を必要経費として扱えるのはもちろん、法人カードの年会費や福利厚生費、法人名義による車の購入なども経費として計上可能です。
 
税負担を軽減できる可能性がある
前述のように、所得税は累進課税制度を採用しているため、所得が増加するのにあわせて高い税率がかかってきます。一方、法人税の税率は最大でも23.2%です。売上が多くなればなるほど税負担を軽減できる可能性が高まり、法人化のメリットが生きてくるでしょう。
 
また、給与所得控除が利用できるほか、欠損金を10年間繰り越し可能で、消費税の免税効果もあります。経費の幅が広がることによる節税効果も高いでしょう。
 
損害賠償責任の範囲が有限になる
賠償責任に限りがあることも法人化のメリットのひとつです。法人になると、損害賠償責任の範囲が有限になります。
 
事業を行う場合、なんらかの原因で仕入れなどの代金が払えなくなったり、業務上のミスで損害賠償を請求されたりすると、思わぬ債務を負うリスクがありますが、一人親方は制限なく返済や賠償をしなければいけません。
 
対して、法人の社長個人としての責任には限りがあります。債務は法人自体が負うものとされ、法人と社長は別として扱われるのが一般的です。
 
会社が多額の負債を出して倒産したときでも、社長の責任は出資金額のみに限定され、基本的に自身の財産で賠償する必要はありません。ただし、社長個人が会社の負債の連帯保証人になっている場合は、責任を免れることはできない点に注意しましょう。
 
決算日を自由に設定できる
決算日を自由に設定できるのも、法人化のメリットといえます。会社の繁忙期や一般的な決算時期から決算日をずらすことで、余裕をもって決算業務ができるでしょう。
 
一方、一人親方である個人事業主の確定申告時期は、毎年2月半ば~3月半ばです。期間が決まっていることから、繁忙期と重なった場合でも時期をずらすことができず、業務が煩雑化する可能性があります。
 
一人親方が法人化するデメリット
一人親方から法人化する場合、メリットだけではなくデメリットもともなうため、あらかじめ把握しておくことが重要です。ここでは、4つのデメリットを取り上げて説明します。
 
手間と費用がかかる
手間や費用がかかる点が、法人化のデメリットです。法人化の際は、さまざまなことの取り決めや煩雑な手続きをこなす必要があり、定款の認証費用や法人登記の登録免許税といった費用もかかります。
 
令和3年12月時点で、公証人役場での定款認証には5万円かかり、株式会社を設立する際の登録免許税の最低額は15万円です。また、手続きを司法書士などに依頼する場合は、その費用も用意する必要があります。
 
会計処理が複雑になる
法人化すると、会計処理が複雑になる点もデメリットのひとつです。一人親方のときよりも税金申告が複雑なので、場合によっては税理士などの専門家に外注することになるでしょう。
 
また、社会保険や労働保険に入る必要があり、株主総会の開催や役員変更登記などの手続きも増えるため、事務作業が複雑化されます。
 
社会保険料の負担が増す
法人化するデメリットとして、健康保険や厚生年金といった各種社会保険に加入の義務が生じ、負担が増すことが挙げられるでしょう。
 
個人事業主である一人親方が加入する保険は、個人として支払う国民健康保険(または国民健康保険組合)と国民年金のみです。会社負担分としての保険料はありません。
 
法人化した後に加入する健康保険と厚生年金の保険料は、会社と従業員で折半して負担します。保険料は月給によって決まり、月給が高くなるのに比例して、保険料も上がる仕組みです。法人化するときは、社会保険料の金額をしっかり把握しておく必要があります。
 
会社のお金を自由に使えない
法人化すると、会社のお金は自由に使えなくなります。法人化後は、自身の給与である役員報酬だけが自由に使える会社のお金です。
 
個人事業主の一人親方が得る収入は、基本的にすべて自分のお金として使うことができますが、役員報酬は一定額で、多く働いた場合でも会計期の途中で増えることはありません。
 
一人親方が法人化するタイミング
一人親方が法人化する場合、タイミングのよい時期を狙って行うと効率的です。ここでは、主な3つのケースを紹介します。
 
年間の売上が1,000万円を超えたとき
年間の売上が1,000万円を超えたときが、法人化のひとつのタイミングです。一人親方だけでなく、事業者が納める消費税には免税制度があり、前々年の売上が1,000万円以下の事業者が免税対象です。
 
そのため、2年前の売上が1,000万円以下の個人事業主は、当年の消費税の納付が免除されますが、売上が1,000万円を超えると、2年後には消費税を納めなければいけません。
 
ただし、法人化の際は、それまで行ってきた個人事業の売上実績が0になります。法人化した年から新たに2年のカウントが始まるので、消費税を納める時期を先送りすることが可能です。
 
個人事業主としての売上が1,000万円を超えた場合、消費税の納付義務が生じる直前に法人化すれば節税効果が見込めます。
 
また、2023年10月1日からは個人事業主の売上の消費税にかかわるインボイス制度がスタートする予定なので、こちらについても確認しておく必要があるでしょう。
 
年間の所得が1,000万円を超えたとき
年間の所得が1,000万円を超えたときも、法人化を検討する時期になります。ポイントは、一人親方が納める所得税と、法人が納める法人税では、税率が異なる点です。
 
所得税の税率は5~45%で、所得に応じて段階ごとに上がっていく仕組みです。一方、法人税の税率は、所得が800万円以下は15%、それを超えた場合は23.2%になります。
 
さまざまな支払いなどを考慮に入れても、およそ1,000万円を超えたあたりがもっとも税金がかからず、法人化におすすめのタイミングといえるでしょう。
 
事業を拡大させたいとき
法人化は、所得税や消費税などの損得で考えるのではなく、これからの経営を鑑みて事業拡大を望んだときに行うべきという考え方もあります。
 
法人は一人親方よりも信用度が高く、大規模な仕事の請負や大きな借り入れが可能です。さらに、優秀な人材を雇いたい場合、法人のほうがより信頼性があるため、応募者が多くなる傾向があります。積極的に事業を拡大させたいなら、法人化の検討をするのがおすすめです。
 
 
まとめ
一人親方は、独り立ちして自分自身と家族などだけで事業を行う事業主のことで、法人は株式会社や合同会社などを指します。一人親方と法人は、費用や税金、社会保険、経費といった面で違いがあるので、これらを理解しておくとよいでしょう。
 
また、一人親方が法人化する場合、信用が増すことがもっとも大きなメリットです。ほかにも、経費にできるものが増え、税負担軽減の可能性があるなどの利点があります。ただし、手間と費用がかかる点がデメリットとして挙げられるでしょう。
 
法人化する際は、年間の売上・所得が1,000万円を超えたときがベストなタイミングですが、これから事業拡大を図るなら、法人化の検討を始めてみることをおすすめします。
「建設キャリアアップシステムは一人親方に今後どのような影響を与えるのか?」の記事へ遷移する内部リンクの設置を推奨いたします。

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