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制度・法律

一人親方を守る法律!フリーランス保護新法は必ず知っておきましょう!

2023年4月にフリーランス保護新法が成立しました。正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。一人親方をはじめ、組織に属さず個人として働くフリーランスのトラブルや労働環境を守る法律です。
 
今回は、一人親方を守る、フリーランス保護新法について解説します。さらに、法律が成立した背景や下請法との違い、インボイスとの関係性についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
 
一人親方を守るフリーランス保護新法とは
 
正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」のことをいいます。
 
これは2023年4月28日に参院本会議で可決・成立した新制度で、働き方が多様化するなか、フリーランスが受注した業務に安定して働ける就業環境を整備することを目的とした制度です。この法律は、一人で活動する「一人親方(工事請負業)」も対象となります。
 
では、この法律が成立した背景にはどのような問題があったのでしょうか。
 
法律が成立した背景
 
近年、働き方の多様化が進んできています。テレワークやデジタル社会の進展にともない、フリーランスという働き方が広がりつつあります。
 
一人親方などのフリーランスを含めた多様な働き方が進むなかで、それぞれのニーズに柔軟に対応できる環境を整備することが求められているのです。一方で、政府の実態調査やフリーランス・トラブル110において、フリーランスが取引先とのさまざまな問題やトラブルが報告されています。
 
2021年の内閣府の実態調査において、フリーランスの約4割が報酬不払いや支払い遅延、発注する際の取引条件や業務内容が明示されないなどが問題となっています。また、約4割の方が、納得できない依頼者の行為に対して、受注そのものを自ら断ったという結果も出ています。こうした問題は、ひとりの個人として業務委託を受けるフリーランスと、依頼者側との間には、交渉力や情報収集力の格差が生じやすいことにあります。
 
事業規模が小さいフリーランスは、特定の発注事業者に依存しやすくなったり、業務完了までは報酬が支払われなかったりと、取引する上で立場上弱くなりやすい環境にあります。こうした問題から、取引の適正化を実現するため、就業環境の整備が急がれています。
 
下請法との違い
 
下請法は、資本力の小さな企業やフリーランスに発注した商品やサービスに対して、不当な代金の減額や不当な返品、支払い遅延を禁止するための法律です。正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」といい、独占禁止法を補完する法律になり、公正・自由な競争の実現を目指すものです。
 
下請法が適用される条件としては、発注側と下請け業者との間で資本金の基準が定められており、発注側の資本金が1,000万円超えの事業者が対象となります。発注事業者側の資本金が1,000万円を超えていない場合は、下請法が適用外となってしまい、トラブルが起きてもフリーランスは守られなくなってしまいます。
 
一方で、フリーランス保護新法は資本金の大小問わず、すべての発注業者が規制対象となります。今後、フリーランスとの業務委託契約を結ぶ際は、発注事業者もフリーランス保護新法で定められたルールを守らなければいけなくなり、フリーランスは守られる立場となるのです。
 
インボイス制度との関係
 
フリーランス保護新法と関係性が深い法律に、インボイス制度があります。具体的には以下のような関連がありますので解説します。
 
まずはインボイス制度との関連性です。インボイス制度は2023年10月に開始されました。インボイス制度によって、免税事業者に対して、発注時の不当と思われる額や、取引停止などのトラブル発生が考えられるため、フリーランスへ影響が出ないように考慮されています。
 
このようなトラブルは、現在の下請法でも禁止されている部分ではありますが、フリーランスは保護されないこともあるのが現状です。さらに、具体的には以下のようなことがあります。
 
  • 免税事業者に対して、消費税相当額が支払われない
  • 課税対象者になっても、発注者側が値上げしてくれない
  • 取引終了を条件として、課税事業者になることを強要される
 
フリーランス保護新法が施行されることで、上記のような行為は禁止されます。フリーランス保護新法では単価交渉もすることは可能です。
 
フリーランス側からの提案により、依頼主が納得すれば単価が変更され、契約書が差し替えとなります。ただし、フリーランス保護新法により守られるといっても、発注者側の予算にも限りがあるため、必ずしも成立するとは限りません。
 
フリーランス保護新法で禁止されるのは、発注業者側の一方的な要求です。「この単価でできなければ契約を解除する」などの要求には拒否できますが、お互いよい関係を継続できる見込みがあれば、単価交渉のタイミングを改めるなど、柔軟な姿勢を見せることも必要でしょう。
 
フリーランス保護新法の適用範囲
 
ここでは、フリーランス保護新法が適用となる範囲について解説します。
 
保護対象:特定受託事業者
 
保護対象となるのは「特定受託事業者」です。具体的には、従業員を置かない個人事業主と役員や従業員を置かない法人代表者(いわゆる「一人親方」)の2つになります。
 
フリーランスと呼ばれる個人以外にも、代表者1人の法人も対象に含まれることが特徴です。フリーランス保護新法におけるフリーランスの定義は、以下のすべてに該当する労働者となります。
 
  • 実店舗がない
  • 個人経営者や一人社長(一人親方も含まれます)
  • 従業員を雇用していない
  • 経験やスキルなどを活用して収入を得ている
 
規制対象:特定業務委託事業者
 
規制対象としては、以下の要件を満たす「特定業務委託事業者」になります。
 
  • 従業員を雇っている個人事業主
  • 1人以上の従業員を雇っている法人または、2人以上の役員がいる法人
  • 特定受託事業者(フリーランス)に業務を委託する発注事業者
  • 業務を委託の内容として「製造や加工の委託」「プログラムやコンテンツなどの作成の委託」「サービスを提供する委託」のいずれか
 
なお、従業員とは「週の労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込み」を対象とし、短時間や短期間などの一時的に雇用される人はこれには含まれません。
 
基本的には、特定受託事業者(フリーランス)に仕事を発注する側に、従業員を雇用している企業が対象です。消費者や従業員を雇用しない企業や個人事業主は対象外です。
 
フリーランス保護新法の内容
 
フリーランス保護新法では、取引するうえで、法人などの企業に対して弱い立場とされる一人親方を含むフリーランスの労働環境を保護する目的があります。
 
フリーランスが不当に扱われないために、安心して受託した業務に取り組めるように配慮した遵守事項が定められています。ここでは、フリーランス保護新法の内容について解説します。
 
業務委託の開始および終了に関する義務
 
業務委託の開始や終了に関する義務は、以下の2点です。
 
事業委託の際の書面交付義務
 
発注事業者側が特定受託事業者(フリーランス)に業務を委託する際、業務の内容や報酬、業務の開始・終了に関する内容を書面化し、交付またはメールなどで提供することが義務化されます。
 
契約の中途解約・不更新時の事前予告
 
一定期間以上継続して仕事をする場合にも、契約期間や契約終了、解約時の事由・費用なども記載する必要があります。一定期間以上の継続的な契約に関して、契約の中途解除や契約を更新しない場合は「中途解約日または契約期間満了日の30日前」に、その旨を予告することが義務化されます。
 
募集情報の的確な表示義務
 
業務を委託したい依頼主は、業務の内容を明記することが義務化されます。クラウドソーシングやSNS、広告などで、特定委託事業者(フリーランス)へ仕事の募集をする際は、以下の内容を正確かつ最新の情報を伝えなければなりません。
 
  • 仕事の内容
  • 報酬額
  • 納品期限
  • 公正取引委員会規則が定めるその他の事項
 
上記のなかで、虚偽の表示や誤解を招くあいまいな表示は罰則対象となります。また、募集時点に明記した業務内容と異なる仕事内容・報酬となった場合は、発注者側が必ず変更の旨を説明する必要があります。
 
60日以内の報酬支払い義務
 
フリーランス保護新法では、業務完了日から60日以内の報酬支払が義務化されます。たとえば「月末締め・翌月10日払い」「月末締め・翌月末払い」は、60日以内に収まるため問題ありません。
 
しかし「月末締め・翌々月10日払い」とした場合「10月1日納品・12月10日支払い」では最大71日となり、60日以上となってしまうため、遵守事項違反として罰則対象となります。
 
業務が再委託である場合は、発注事業者より支払いを受けた日から、30日以内に支払いを完了すれば問題はありません。また、フリーランス同士での委託の場合は、支払いの取り決めはなく、60日を超えても問題はありません。
 
不当な報酬減額や仕事のやり直し強制の禁止
 
フリーランス保護新法では、以下のような不当な受領の拒否、報酬の減額、成果物の返品などが禁止となります。
 
  • 特定受託事業者(フリーランス)側の責めに帰すべき理由のない成果物の受領拒否
  • 特定受託事業者(フリーランス)側の責めに帰すべき理由のない報酬の減額
  • 特定受託事業者(フリーランス)側の責めに帰すべき理由のない成果物の返品
  • 相場に比べて著しい低い報酬を設定する
  • 正当な理由のない指定商品の購入または役務の利用の強要
  • 委託事業者のために、金銭や役務そのほかの経済上の利益の提供を強要する
  • 特定受託事業者(フリーランス)側の責めに帰すべき理由のない給付内容の変更や、やり直しの強要
 
上記いずれの場合も、依頼主の一方的または、不当な扱いによるフリーランスの不利益につながる行為が禁止されます。
 
ハラスメント防止措置
 
一人親方のようなフリーランスは、企業に雇用されるわけではないため、労働基準法の適用がありません。そのため、セクハラやパワハラ、マタハラなどに関して、就業環境が害されることがないように、ハラスメント防止措置が適用となります。
 
フリーランスとの長い期間にわたる業務委託がある場合は、フリーランスが育児や介護を両立できるよう、出産や育児、介護などに対しても配慮しなければいけません。フリーランス側の対応にもよる部分もありますが、納期遵守や日頃の対応が問題ない状況での、納期の変更やスケジュールの再調整にも対応する必要があります。
 
上記のように、フリーランス側からの相談に、適切に対応するために必要な体制や環境を整備することが義務化されます。また、相談に対して、不当な扱いや契約解除は行ってはいけません。
 
これまで説明した、上記のフリーランス保護新法の内容が守れなかった場合には、罰則の処置があります。公正取引委員会、中小企業庁官庁または厚生労働大臣により、助言や指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令などが行われ、50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
 
また、50万円以下の罰金が適用されるのは法人両罰規定となります。なお、発注事業者が違反した場合は、違反者となる担当者だけでなく、発注側の依頼主も罰則の対象となるため注意が必要です。
 
万が一、上記のようなハラスメントにあたる被害を受けた場合は「フリーランス・トラブル110番」に相談してみましょう。フリーランス・トラブル110番は、運営事業者である、第二東京弁護士会がフリーランスに関する関係省庁と連携しているため、トラブルに対して無料で相談できます。
 
フリーランス保護新法はいつから?
 
フリーランス保護新法は、2023年4月28日に参議院本会議で可決されましたが、現時点(2023年10月)で明確な施行日は決まっていません。
 
成立から起算して、最長で1年6か月以内を超えない範囲において、政令で定める日に施行としており、遅くとも2024年度内には施行される見込みです。
 
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まとめ
 
フリーランス保護新法は、2023年4月に可決された新しい法律です。一人親方のような個人で働く方々の労働環境を保護する目的として制定されました。発注者側の一方的な契約解除や不当な扱い、報酬未払いなどの問題を解決するための保護法です。
 
発注者側も業務内容や報酬などの条件を正確かつ明確に記載する必要があり、不当な受領拒否、報酬の減額、返品などが禁止されます。違反した場合は、50万円以下の罰金が科せられます。
 
フリーランス保護新法は、労働環境を改善し、トラブルに対してもスムーズな解決が期待できます。一人親方さんも要件を正しく理解し、適切な対応ができるよう準備しておきましょう。
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